限定承認について
限定承認とは、主に相続で得たプラスの財産の限度内において、被相続人のマイナスの財産を相続することを指します。
限定承認は、相続人の相続財産の中に借金があるがどうしても相続したいものがある場合や、遺産を合わせるとプラスの財産よりもマイナスの財産の方が多い場合などに有効となります。
例)相続財産の内訳:借金が2000万、プラスの財産が1000万円
プラスの財産の1000万円、借金1000万円分だけ相続する。
相続放棄して一切の債務を放棄するより、限定承認を行い被相続人が遺したプラスの財産分のみ債権者に返済するケースもあります。
限定承認のメリットとして相続財産の範囲以上の借金を相続しなくて良い点や、先買権を行使し残したい財産を残しておける可能性があります。しかし、相続人全員が共同で行う必要があるため、相続人の中に一人でも限定承認に関して反対者がいると認められません。また、限定承認は被相続人から相続人に財産が時価で譲渡されたとみなされ、譲渡所得税を支払わなくてはなりません。また、相続の開始を知った日の翌日から4ヵ月以内に準確定申告を行う必要があるため、単純承認よりも手続きが面倒になります。なお、譲渡所得税は被相続人の債務ですので、限定承認の効果が得られます。
上記のように限定承認の手続きは非常に複雑なため、限定承認を選択する人はあまり多くはありません。
限定承認の手続きは、自己のために相続が発生したことを知った日(通常は被相続人の死亡日)から3ヶ月以内に家庭裁判所へ申述を行う必要があります。期限に間に合わなそうな場合や期間を延長したい際には家庭裁判所に「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を申し立てると期間を延長してもらうことが可能となります。